SF6(六フッ化硫黄)を用いた地下水年代の推定

SF6の特徴

SF6(六フッ化硫黄)は、変圧器の絶縁ガスなどに使用されている気体で、化学的に非常に安定な性質を持っています(大気中での寿命:約3200年)。図1は大気中のSF6濃度の変遷を示したものですが、工業的な使用量の増加にともなって、1970年代から現在まで濃度が上昇し続けています(現在の年上昇率:約6%)。SF6による地下水年代推定法は、この過去40年間の大気のSF6濃度の急激な上昇を利用した方法で、トリチウムやCFCsでは年代推定が難しい滞留時間10年未満の非常に若い地下水の年代推定も可能なことが最大の利点です。

 

図1. 大気中のSF6濃度の変遷と年代推定例
図1. 大気中のSF6濃度の変遷と年代推定例

SF6の年代推定手順

SF6による地下水の年代推定手順は、以下のようになります。

 

1. 地下水の採水 (大気の混入防止,採水量:1000mL)

2. 地下水のSF6濃度の測定 Purge and Trap-GC-ECD法)

3 ヘンリーの溶解平衡式によって測定値を地下水涵養時の大気濃度に変換.

  (式を解くために、地下水の涵養温度、涵養標高のデータが必要) 

4. 変換された値を過去の大気のSF6濃度と対比(図1参照)

 

 

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