CFCsとSF6の試料採取

CFCsとSF6 試料採取の考え方

CFCsとSF6分析用の水試料の採取は、1) 大気の混入, 2) 採水機材からの汚染、の2点に関して注意をする必要があります。

現在の大気中には、CFCs・SF6が高濃度で含まれています。したがって、採水の過程で大気と水試料が接触すると、試料中のCFCs・SF6が上昇し、結果的に年代値が若く見積もられることになります。大気の混入を防止するために、CFCs・SF6の採水は、水中に採水用の瓶を沈めた状態で行います。

現在市販されている多くの機材は、製作の過程で油を使用しています。 CFCs・SF6は親油性が非常に強く、油の中にはCFCs・SF6が濃縮されているため、このような機材を使うと、採水時に試料水のCFCs・SF6濃度が上昇してしまう恐れがあります。そのため、サンプリングの機材については、CFCs・SF6フリーであることが確認されている、ステンレス・アルミ・銅・ガラス・ナイロンなどを使用します。 


準備

採水に必要なものは以下のとおりです。

1. ステンレスもしくはアルミ容器(CFCs: 容量2~3 L, SF6: 容量5 L)

2. 採水用ガラス瓶(CFCs: 125 mL, SF6: 500 mL)

3. 専用キャップ

4. ナイロンチューブ(試料水の導水に使用)

※ ガラス瓶およびキャップは販売・レンタルを行っております。

 

 

写真1. CFCs用試料採水状況                                   写真2. SF6用試料採水状況

採水手順

実際の採水手順は、以下のとおりです。CFCsとSF6では、採水瓶やキャップが異なりますが、手順そのものは同じです。なお、運搬時の破損や分析のエラーも考慮して、1地点につき2~3本の採水をされることをお薦めします。

 

  1. ステンレス容器の中に採水用のガラス瓶とキャップを入れる。
  2. ナイロンチューブを通して、水をガラス瓶の底に導入し、ステンレス容器から水をオーバーフローさせる。※ オーバーフローさせる量は、1試料につき、CFCsで約1L, SF6で約2Lを目安としてください。
  3. キャップの内側に付いた気泡を水流によって取り除く。
  4. 水中において瓶に蓋をする。
  5. 瓶を取り出し、蓋を再度強く締め、タオルで瓶についた水分をふき取る。
  6. 気泡の有無を確認する。明らかに大きな気泡が確認された場合はやり直す。※ CFCs用の蓋は1回しか使えませんので、やり直す際はキャップを交換してください。
  7. 絶縁密着テープにより、蓋をしっかりと固定する。※時計回りに巻いてください。

 

採水した試料は、割れないように梱包後、常温(25℃程度)で保存し、当社までお送りください。ただし、高温下にさらされる危険がある夏季や凍結による瓶の破損の可能性がある冬季については、クール宅急便でお送りください。

 

 

                図1. 採水手順イメージ図

 


地下水の導水

ナイロンチューブまでの水試料(地下水)の導水は、対象とする地下水の位置によって異なります。 斜面の湧水や自噴井のように、地表面より高い位置から地下水が湧き出している場合は、湧出口に対してダイレクトにナイロンチューブを差し込んで、水頭差を利用して地下水を導入します(写真3)。

湧水池のように地表面から低い位置から地下水が湧出する場合は、チューブポンプを使って地下水を汲み上げます(写真4)。

※ 汲み上げポンプには,、必ずしもチューブポンプを使う必要はありませんが、吸い上げ時に空気の混入がなく、CFCs・SF6の汚染源とならないポンプを使用することをお薦めします。当社は、フィールドでの取り扱いに優れたチューブポンプを製作・販売しております(カタログ参照)。 深い深度の地下水を採取する場合には、ベネットポンプが最適とされています。 このポンプは、圧縮空気によってステンレス製のシリンダーを上下させて、地下水を汲み上げるタイプで、数百メートルの深度のボアホールの地下水を汲み上げることが可能です。

 

 

    写真3. 水頭差を利用した湧水導入         写真4. チューブポンプによる湧水採取

  写真4. チューブポンプ(Geoシリーズ)            写真5. ベネットポンプ

 

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